マウスピース矯正の治療計画で
本当に大切なこと
治療を成功させるために、患者様に知っていただきたいポイント
こんにちは、尾島です。
今回は「アライナー矯正(マウスピース矯正)の治療計画を立てる際、最も重要な診断要素は何ですか?」という質問について、患者様にもわかりやすくお話しします。
実は、この答えは意外とシンプルですが、とても重要なことなんです。
最も重要なのは「治療できるかどうか」の判断
すべての治療の大前提:できないと思ったらやらない
実は、前回の「アライナー矯正に適している症例は?」という質問への答えも「ドクター次第」でした。
つまり、歯科医師が「自分でこの治療を成功させられるか、できないか」を正確に判断することが、すべての治療において最も重要なのです。
これはマウスピース矯正だけでなく、歯周病治療など、すべての歯科治療に共通する大原則です。
できないと思ったら、その治療は絶対にしてはいけません。
なぜ「できる・できない」の判断が重要なのか?
歯科治療は患者様の大切な身体に関わるものです。歯科医師が自信を持って「治療できる」と判断できない場合、無理に治療を進めることは患者様にとって大きなリスクとなります。
✅ 「治療できる」と判断する根拠
歯科医師がこれらを持っているか確認してください
- 豊富な治療経験 – 多くの成功症例を持っている
- 類似症例の経験 – あなたと似た症例を治療したことがある
- 最新の知識 – 論文を読み、常に学んでいる
- 専門家ネットワーク – 相談できる師匠や専門家がいる
- 継続的な学習 – 勉強会やセミナーに参加している
❌ 「治療できない」と判断する理由
⚠️ こんな場合は正直に「できない」と言うべきです
- やったことがない症例 – 経験がなければリスクが高い
- 治療計画が立てられない – どう治すか方法が思いつかない
- 論文を読んだことがない – その治療法の知識がない
- 相談できる専門家がいない – 困ったときに頼れる人がいない
尾島先生の経験から
私が2006年にアライナー矯正を始めたとき、知識がまったくありませんでした。
そこで、ドイツのシュープ先生(2001年から5年早く始めていた師匠)のやり方をステップバイステップで学び、わからないことは頻繁に質問しました。
ドイツのクリニックで実際の治療を見せてもらい、師匠の論文や技術、知識を吸収することで、少しずつ自分の治療範囲を広げていったのです。
つまり、「できる」歯科医師は、常に学び続けている歯科医師なのです。
患者様へのアドバイス
初回カウンセリングでは遠慮なく質問してください:
- 「先生は、この治療の経験は何例くらいありますか?」
- 「私と似たケースを治療したことはありますか?」
- 「この治療で難しいポイントは何ですか?」
信頼できる歯科医師は、これらの質問に正直に、自信を持って答えてくれるはずです。
治療可能と判断した後の10の診断ポイント
「この治療はできる」と判断した後、歯科医師は以下の10項目を詳しく診断していきます。
- 顎関節の位置チェック
- 顎の位置が適切かどうかを確認します。顎関節に問題がある場合は、まずそちらの治療を優先することもあります。現在の顎の位置から治療を始めて良いのか、慎重に判断します。
- フェイシャルパターン(骨格の評価)
- 歯を動かすだけで改善できるのか、それとも骨格的な問題があるのかを見極めます。骨格的な問題が大きい場合は、外科矯正が必要になることもあります。
- 顔と歯の正中線のズレ
- お顔の中心と歯並びの中心がズレていないかチェック。これにより、歯をどの方向に動かすべきかが明確になります。
- 歯の移動方向を決める超重要ポイント
- です。
- 横顔のライン(プロファイル)
- 正面から見ると問題なくても、横から見ると口元が出ている(または引っ込んでいる)ことがあります。これにより、抜歯が必要かどうかも判断します。
- 歯の移動限界
- CT検査で骨の厚みや状態を詳しく分析します。骨が薄い部分は歯を大きく動かせないため、安全に移動できる範囲を正確に計算します。
- 治療の難易度レベル
- 奥歯を動かす必要があるか、上下のかみ合わせの高さを変える必要があるか、正中線がズレているかなど、難易度を総合的に評価します。
- 固定源の設定
- 奥歯だけで歯を動かせるのか、それともミニスクリュー(小さなネジ)などの追加装置が必要なのかを判断します。しっかりとした固定源がないと、動かしたくない歯まで動いてしまうことがあります。
- ステージング(歯を動かす順番)
- どの歯から動かし、どの歯は動かさないか。この順番設定が治療の成否を大きく左右します。歯科医師の経験と技術が問われる重要なポイントです。
- バイオメカニクス(生体力学)
- 矯正治療は物理学です。効率的に歯を動かすために、適切な力の方向と強さを計算します。アタッチメント(歯に付ける小さな突起)の配置もここで決まります。
- シンプルなアプローチ戦略
- 複雑な状態をどうやってシンプルにするか。例えば、歯列を拡大してスペースを作ったり、一度レベリングしてから治療しやすい状態にするなど、難易度を下げる戦略を立てます。
患者様が理解すべき重要なポイント
これら10項目すべてを丁寧に診断してくれる歯科医院を選ぶことが、美しい歯並びと健康な口元を手に入れる第一歩です。
治療計画の説明を受ける際は、これらのポイントについて聞いてみてください。しっかりと説明してくれる歯科医師は、信頼できる証拠です。
安心して治療を受けるために
マウスピース矯正は、正しい診断と計画があってこそ成功します。
気になることがあれば、遠慮なく担当医師に質問してください。
良い歯科医師は、患者様の疑問に丁寧に、わかりやすく答えてくれるはずです。
さらに詳しく知りたい方へ
より専門的な内容は、クインテッセンス出版「アライナージェネレーション」で詳しく解説されています。
こちらの内容は動画でもご覧いただけます


