アライナー矯正治療前に考えるべき6つのステップ〜アライナージェネレーション解説(3)〜

アライナー矯正治療前に考えるべき6つのステップ

〜治療成功への必須プロセス〜アライナージェネレーション解説(3)

こんにちは!今日は、2025年4月にクインテッセンス出版から発売された『アライナージェネレーション』から、アライナー矯正治療を始める前に必ず行うべき6つのステップについてお話しします。

これは私が毎回ルーティーンとして行っている分析プロセスで、海外講演でも最も重要なパートとしてお話ししている内容です。

口腔内写真やレントゲン、触診といった基本的な検査は当然行いますが、今回はそれ以外の特に重要な6つのステップを詳しく解説していきます!

📋 6つのステップ一覧

  1. 顎位(がくい)の分析
  2. セファロ分析
  3. お顔の分析
  4. デジタルセットアップ
  5. CT分析
  6. 歯の移動順番プログラム(ステージング)

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう!

ステップ1:顎位の分析

なぜ最初に顎位を分析するのか?

不正咬合の患者様の中には、歯に押し込まれて本来とは違う位置で噛んでいる方がいらっしゃいます。

ご自身では気づいていないかもしれませんが、下顎が後方に押し込まれているケースも少なくありません。

顎位を無視すると起こる3つの問題

❌ 問題1:治療のゴールが間違ってしまう

今の顎位のままデジタルシミュレーションで歯を並べていくと、本来あるべき正しい顎位とは違う位置にゴールが設定されてしまいます。

❌ 問題2:無駄なアライナーを作ってしまう

現在の状態:

大臼歯の関係が2級(下顎が後ろにある状態)

上顎の大臼歯を後方移動する必要があるように見える

 

しかし…

下顎骨自体が本来の位置より後方にズレていた場合:

正しい顎位に誘導すると下顎が前方に移動

すでにほぼ1級関係になっている!

大臼歯の遠心移動は不要だった

このように、顎位を正しく評価しないと、**不要な歯の移動**を計画してしまい、治療期間が無駄に長くなってしまいます。

 

問題3:不要な処置をしてしまう(または必要な処置をしない)

間違った顎位のまま治療計画を立てると:

本当は必要な抜歯をしない

本当は不要な抜歯をしてしまう

といった**治療方針の誤り**につながります。

インハウスアライナーと外注型アライナーの違い

 

**インハウスアライナー(院内製作型)の強み:**

治療の進行に応じて顎位の変化を追える

3ヶ月後に歯列が整って顎が自然に前方に移動したら、その都度調整できる

 

**外注型アライナーのリスク:**

最初から最後まで(例:2年分)のマウスピースを一度に製作

顎位を間違えると、**間違った顎位のままのシミュレーションで全てのステージが作られてしまう**

途中での修正が困難

だからこそ、**最初の顎位診断が極めて重要**なのです!

 

 ステップ2:セファロ分析

セファロ(側面頭部X線規格写真)では、**骨格と歯の位置関係**を分析します。

わかること

頭蓋骨に対する上顎・下顎の前後的位置

上下顎の垂直的位置関係

下顎骨の回転具合

歯の傾斜角度

これは一般的な矯正治療でも行われる基本的な分析ですが、治療計画を立てる上で欠かせないステップです。

 

ステップ3:お顔の分析

ぜ歯だけでなく顔の分析が必要?

**重要な例:**

歯だけを見ると:

「綺麗に並んでいる!この位置で良さそう」

しかし顔の正中線を見ると:

正中線が大きくズレている!

結論 歯列全体を正中線に合わせて移動させる必要がある

 

顔の分析でわかること

顔のSTLデータ(3Dスキャンデータ)から:

📍 **正中線の位置**

📍 **水平基準線**

📍 **スマイルライン**

📍 **前歯の理想的な配列位置**

 

歯だけを見ていては気づけない、**顔全体のバランスを考慮した治療計画**が立てられます。

 

ステップ4:デジタルセットアップ

石膏模型からデジタルへ

当院では**11年前からデジタルセットアップに完全移行**しています。

2014年にスキャナー(インビザラインスキャナー)を導入して以来、石膏模型によるセットアップは一切作成していません。

デジタルセットアップのメリット

精度の向上

 

**石膏模型の問題点:**

アルジネート印象材は収縮する

石膏は膨張する

患者様の実際の歯の形とすでに異なる

歯をバラバラにカットする際、歯間部分が削られる

実際より小さいサイズで分析してしまう

 

**デジタルの優位性:**

実際の歯の形を正確に再現

歯のサイズも正確

 

統合分析が可能

**石膏模型では不可能:**

歯根の位置が見えない

骨の量が分からない

何mm拡大できるか不明

顔との連動なし

 

**デジタルなら:**

CTデータと連動

顔のデータと連動

すべてのデータを統合した精密分析

 

時間の大幅短縮

 

**石膏セットアップ:約2時間**

**デジタルセットアップ:約15分**

高性能ソフトウェアを使えば、**わずか15分で精密なプランニング**が完成します!

 ステップ5:CT分析

なぜCT分析が必要か?

デジタルセットアップで理想的な歯並びを計画しても、**その位置に本当に歯を動かせるのか?**を確認する必要があります。

CT分析でわかること

例えば:計画した位置に歯を並べた場合

骨の中に歯が収まっている OK

骨から歯がはみ出してしまう NG

他の検査では分からない

**パノラマレントゲン:** 2次元のため正確な評価は不可能

**セファロ分析:** 側面のみで3次元的な評価は不可能

**CTのみ:** 歯の移動量が安全かどうか確認できる唯一の検査

データの統合(インテグレーション)

以下のすべてのデータを統合します:

  1. 歯のSTLデータ
  2. CTデータ
  3. 顔のSTLまたはJPEGデータ

これにより、**すべてのデータが連動した正確で精密な分析**が可能になります!

 ステップ6:歯の移動順番プログラム(ステージング)

最終ステップ:どの順番で動かすか

歯根の位置や骨の量が問題ないことを確認したら、最後に**歯の移動順番**を決定します。

ステージングとは?

ステージ1: この歯を移動

    

ステージ2: 次にこの歯を移動

    

ステージ3: さらにこう動かす

    

最終ゴール: 理想的な歯並び

このように、どの歯を、どのタイミングで、どう動かすかを綿密にプログラミングしていきます。

まとめ:6つのステップがなぜ重要か

🎯 デジタルプランニングの完成形

これら6つのステップを正しく踏むことで:

✅ 正確な診断 

✅ 無駄のない治療計画 

✅ 予測可能な治療結果

 ✅ 短い治療期間

 ✅ 理想的な審美性と機能性

すべてが実現できます。

患者様へ

当院では、これらすべてのステップを必ず実施してから治療を開始しています。

見た目の美しさだけでなく、機能的にも長期的に安定した治療結果をお届けするためです。

歯科医師の先生方へ

この6ステッププランニングは、私が海外講演でも最も重要なパートとしてお話ししている内容です。

詳細は『アライナージェネレーション』42ページに記載されていますので、ぜひご参照ください。

また、オンラインサロンでも詳しく講義を行っていますので、より深く学びたい先生方はそちらもチェックしてみてください。

最後に

アライナー矯正は、デジタル技術の進化により驚くほど精密な治療が可能になりました。

しかし、その精密さを最大限に活かすには、適切な診断と綿密な治療計画が不可欠です。

この6つのステップこそが、治療成功への確実な道筋なのです。

参考文献: 『アライナージェネレーション』クインテッセンス出版、2025年4月発売(42ページ)

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