「抜く歯ってどれですか?」
矯正治療の抜歯の疑問、すべて答えます
矯正の相談に来られた患者さんから、最もよく聞かれる質問のひとつが
「もし抜歯が必要な場合、どの歯を抜くんですか?」
今回は尾島賢治先生が、その疑問にわかりやすくお答えします!
はじめに:抜歯と聞くと不安になりますよね
「歯並びが気になって矯正を考えているけれど、歯を抜くのが怖い」「出っ張っている歯や、内側に入り込んでいる歯を抜くのかな?」と心配される方はとても多いです。
でも安心してください。どの歯を残し、どの歯を抜くかには、しっかりとした考え方があります。むやみに歯を抜くことはありません。今回はその理由を丁寧に解説します。
大前提:すべての歯には大切な役割がある
まず大切なことをお伝えします。いらない歯は一本もありません。口の中の歯はそれぞれが重要な役割を担っています。矯正治療では、できる限りすべての歯を残すことを前提に治療計画を立てます。
たとえるなら、野球チームの大谷翔平選手のような存在。特に「犬歯(けんし)」は矯正治療においても別格の重要性を持つ歯です。
犬歯(けんし)ってどんな歯?なぜ大切なの?
犬歯は前から数えて3番目の歯で、尖った形をしていることが特徴です。別名「糸切り歯」とも呼ばれます。
犬歯が特別な理由 3つのポイント
- 根っこが長い:歯の根っこ(歯根)が他の歯に比べてとても長く、顎の骨にしっかり固定されています。
- 後ろの歯を守る:前歯と奥歯の境目として、奥歯に余分な負担がかかるのを防いでくれます。
- 犬歯誘導の役割:横に顎をずらしたとき、犬歯だけが接触して他の歯を守る「ガイド」の役目をします(詳しくは後述)。
「飛び出した犬歯があるけど、この歯を抜くの?」と心配される方は多いのですが、尾島先生の方針では犬歯はできる限り抜かずに残すのが基本です。
では、実際にどの歯を抜くの?
答えは「第一小臼歯(だいいちしょうきゅうし)」です
抜歯が必要な場合、最もオーソドックスなのは4番目の歯「第一小臼歯(小さい奥歯)」を抜く方法です。
第一小臼歯を抜くことでスペースをつくり、飛び出した犬歯や前歯を正しい位置へ移動させることができます。抜いた後は、矯正治療が完了するころには隙間も埋まり、自然な仕上がりになります。
「内側に入り込んでいる歯がある場合」も抜かなくていいの?
正面から見たとき、前歯が1本だけ内側に入り込んでいて「この歯を抜くのでは?」と思う方もいます。でも基本的にはその歯は抜きません。
内側に入った歯がある場合の治療の考え方
内側に入っている歯(主に2番目の側切歯)であっても、噛み合わせが極端に悪かったり、歯が大きく傾いて動揺しているといった特別な問題がなければ、4番目(第一小臼歯)を抜いてスペースをつくり、内側の歯を正しい位置に並べなおすのが標準的なアプローチです。
仕上がりのとき、上下の前歯4本+犬歯2本の計6本が美しく並んでいる状態こそが、見た目にも機能的にも最高の状態です。
⚠️ ただし、対象の歯がすでに神経を失っていたり、歯を支える骨が大きく減っていたり、著しく揺れている場合などは、その歯を優先的に抜くことを検討することもあります。治療計画は一人ひとり異なります。
重要キーワード「犬歯誘導(けんしゆうどう)」とは?
矯正治療の目標のひとつに「犬歯誘導」という噛み合わせのゴールがあります。
犬歯誘導のしくみ
上下の犬歯が少しずれた状態でしっかり噛み合っている状態を「犬歯誘導」といいます。顎を左右に動かした際に犬歯だけが接触し、他の歯は浮いた状態になります。
この状態だと、横方向にかかる強い力が犬歯に集中して分散されるため、奥歯が守られ長持ちします。これが理想的な噛み合わせとされています。
犬歯誘導ができない場合は、複数の歯で横方向の力を分担する「グループファンクション」という噛み合わせにすることもありますが、尾島先生は可能な限り犬歯誘導を目指した治療計画を立てています。
よくある質問まとめ
- 出っ張っている犬歯は抜かないといけない?
- 基本的には抜きません。犬歯はとても重要な歯なので、矯正治療で正しい位置に移動させます。4番目の歯(第一小臼歯)を抜いてスペースを作るのが一般的です。
- 内側に入っている前歯があるのですが、その歯を抜くの?
- 原則として抜きません。内側に入っている歯も並べなおすことができます。スペース確保のために第一小臼歯を抜くのが標準です。
- 矯正治療では必ず抜歯するの?
- すべての患者さんに抜歯が必要なわけではありません。歯並びのスペースが十分にある場合は、抜歯なしで治療できることもあります。まずはご相談ください。
- 抜いた後、隙間は残ってしまう?
- 矯正治療が完了するころには歯が移動して隙間は閉じます。治療終了後に不自然な隙間が残ることはありません。
まとめ:抜歯に対する不安は相談してください
今日のポイントを整理しましょう。
- 抜歯が必要な場合、最初に検討するのは4番目の歯(第一小臼歯)です。
- 飛び出した犬歯・内側に入った前歯でも、基本はその歯を抜かずに並べなおします。
- 犬歯は根っこが長く、後ろの歯を守る「犬歯誘導」の役割があるため、できる限り残すのが基本方針です。
- 例外的に、神経がない・骨が大きく減っているなどの場合はその歯の抜歯を検討することもあります。
「自分の場合、どの歯が対象になるの?」という疑問は、実際のレントゲンや口腔内の状態を確認しなければ正確にはわかりません。まずはお気軽に矯正相談にお越しください。
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