はじめに
矯正治療では「歯並びを美しく整えること」が重要なのはもちろんですが、**実は同じくらい重要なのが「顎関節の位置を正しい位置に導くこと」**なんです。
今回は、2025年4月にクインテッセンスから発売された書籍『アライナージェネレーション』の内容から、この非常に重要なテーマについて解説します。
顎位とは?なぜ重要なの?
矯正治療を始める前に、まず患者様の現在の噛み合わせの状態を正確に把握する必要があります。
見た目だけでなく、顎関節の位置がどうなっているかを診断することが、治療成功の鍵となります。
3つの顎位タイプ
患者様の噛み合わせ状態は、大きく3つのグループに分類されます。
📍 グループ1:理想的な状態
- CO(中心咬合位)= CR(中心位)
- 普段噛んでいる位置と、顎関節が最も安定する位置が一致している
- 最も理想的な状態
📍 グループ2:ズレがある状態
- CO ≠ CR(一致していない)
- 普段噛んでいる位置と、顎関節の正しい位置がズレている
- 痛みや音などの症状はない
📍 グループ3:機能障害がある状態
- CO ≠ CR + 症状あり
- 位置のズレに加えて、以下のような症状がある:
- 顎関節から「ガクッ」「バキッ」という音がする
- 痛みがある
- 機能障害が認められる
治療の進め方:どのグループを目指すか
🎯 治療のゴール
すべての患者様を**グループ1(理想的な状態)**に導くことが目標です。
📊 治療の優先順位
グループ3 → グループ2 → グループ1
↓ ↓ ↓
症状改善 位置修正 理想的状態
重要ポイント:
- グループ3の方は、まず症状を改善してグループ2へ
- グループ2の方は、顎位を修正してグループ1へ
- 歯並びを整えることと、顎関節の位置を正しくすることは同じくらい重要
グループ3(機能障害あり)の治療法
具体的な例
例えば、上顎の側切歯(前から2番目の歯)が内側に大きく入り込んでいる場合:
- 普通に噛もうとすると、その歯に先に当たる
- 「カツン」と当たった後、顎がズレて噛む
- このズレた状態が続くことで、顎関節に負担がかかる
- 結果として「バキッ」という音や痛みが発生
治療アプローチ
まず機能治療から開始します
- スプリント療法を使用
- 痛みや機能障害を軽減
- 顎関節を正しい位置に導く
- その後、矯正治療を開始
なぜ顎位診断が重要なのか?
❌ 顎位を無視すると…
- 無駄な治療をしてしまう
- 不適切な装置を使ってしまう
- 見た目は良くても、機能的な問題が残る
- 治療後に顎関節症状が出る可能性
✅ 適切な顎位診断をすると…
- 効率的な治療計画が立てられる
- 適切な装置選択ができる
- 見た目も機能も理想的な結果が得られる
- 長期的に安定した噛み合わせが実現
当院での診断プロセス
アライナー矯正治療を開始する患者様には、必ず顎関節の位置を確認します。
診断ステップ
- 顎位の診査を実施
- グループ1・2・3のどれに該当するか判定
- 患者様の状態に応じた治療計画を立案
- 必要に応じて機能治療から開始
- 顎位を整えながら歯並びを改善
歯科医師の先生方へ
目の前の患者様が今どのような状態なのかを正確に把握することが、治療成功の第一歩です。
チェックポイント
✓ 現在の顎位はどのグループに該当するか?
✓ CO(中心咬合位)とCR(中心位)は一致しているか?
✓ 顎関節に症状や機能障害はあるか?
✓ どのような順序で治療を進めるべきか?
詳しくは『アライナージェネレーション』44ページ「顎位の決定」で、図解入りでわかりやすく解説されています。
まとめ
矯正治療では、以下の2つが同じくらい重要です:
- 歯の位置を並べ、美しくすること
- 顎関節の位置を正しい位置に導くこと
この両方を達成することで、見た目も機能も理想的な治療結果が得られます。
顎位の診断と治療は、矯正治療の成功に欠かせない要素なのです。
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