ポイントを先に知りたい方へ
時間のない方のために要点を先にまとめます。
- マウスピース矯正では、治療が進むにつれてマウスピースが歯に合わなくなる「アンフィット」が起こりやすい。これは従来、「仕方のないこと」と考えられてきた。
- 院内でマウスピースを作る「インハウスアライナー」なら、この問題を根本から解決できると述べている。
- 理由は大きく3つ。(1)必要なタイミングで新しい型を取ってマウスピースを作り直せる、(2)約2か月ごとに歯をスキャンして計画を作り直す、(3)形状記憶(シェイプメモリー)という素材を選べる。
- コロナ禍には「通院を減らす」「遠隔で見守る」考え方が広がったが「今は、むしろ来院してもらって細かく診ていくほうがよい」という考え方が示されている。
ここからは、一つずつ順番に見ていきましょう。
そもそもマウスピース矯正とは?
透明なマウスピースで少しずつ歯を動かす方法
マウスピース矯正(アライナー矯正)は、透明なプラスチック製のマウスピースを歯にかぶせて、少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。ワイヤー矯正のように金属の装置が目立たないため、「見た目が気になる」「人前に出る仕事をしている」という方に人気があります。取り外せるので、食事や歯みがきがしやすいのも特徴です。
仕組みはシンプル
歯は、ゆるい力を長い時間かけ続けると、少しずつ動く性質があります。マウスピース矯正では、「今の歯並びより、ほんの少しだけ理想に近い形」のマウスピースを作ります。それをはめると、歯がその形に向かってほんのわずかに動きます。歯が動いたら、次の段階の少し違う形のマウスピースに交換します。これをくり返して、最終的な理想の歯並びまでたどりつきます。
多くの場合、1日のうち20時間以上の装着が必要で、1〜2週間ごとに新しいマウスピースへ交換していきます(使うシステムによって異なります)。
治療の前に「計画」を立てる
マウスピース矯正では、治療を始める前に、パソコン上で歯の動きをシミュレーションします。まず口の中を3Dスキャナーや型取りで記録し、そのデータを使って「この歯をこのくらい動かして、最終的にはこの並びにする」という計画を立てます。この計画のことを、動画では「プラニング」や「ステージング」と呼んでいます。ステージングとは、「どの段階で、どの歯を、どの順番で動かすか」という段取りのことです。
「アンフィット」とは何か?
マウスピースが歯に合わなくなる現象
タイトルにもなっている「アンフィット」とは、マウスピースが歯にぴったり合わなくなることです。英語の「fit(合う)」の反対で、「合わない」という意味です。
たとえば、次のような状態です。
- マウスピースを入れたときに、歯とのすき間が見える。
- 奥まで入らず、浮いている感じがする。
- 噛んだときに、マウスピースが歯にしっかり密着していない。
マウスピースが浮いてしまうと、歯に力がうまく伝わらず、計画どおりに歯が動かなくなってしまいます。矯正をしている先生にとっては悩みの種で、患者さんにとっても「ちゃんと動いているのかな」と不安になりやすい部分です。
矯正の現場で多くの先生や患者さんが共通して感じている悩みだということです。
補足:なぜ「歯にぴったり」であることが大切なのか
マウスピースは、歯の表面に密着して、はじめて力を伝えられます。ゆるい靴を履いたまま走ろうとしても、足にうまく力が伝わらないのと似ています。ぴったり合っていれば、動かしたい歯に狙いどおりの力がかかります。反対に、すき間があると、歯に力が届かなかったり、意図しない方向に力がかかったりすることがあります。
なぜアンフィットは起こるのか?動画の説明
「最初の型」でマウスピースを全部作ってしまう
ここがいちばん大事なポイントです。従来の外部メーカーに製作を依頼するタイプのマウスピース矯正について、次のように説明しています。
- 治療を始めるときに歯型をとる。
- その歯型をもとに、1年分、2年分といった長い期間のマウスピースを、最初にまとめて作る。
- 患者さんは、それを順番に使っていく。
つまり、マウスピースはすべて「治療を始める前の歯の形」を出発点に設計されているのです。
1枚目がいちばんよく合うのは当たり前
1枚目のマウスピースは、治療を始める時点の歯並びに合わせて作られているので、いちばんよく合います。ところが、治療が進んで1か月、2か月と経つと、歯は実際に動いていきます。そうすると、「計画上の歯の位置」と「実際の歯の位置」が、少しずつずれてきます。
これは「先生が悪いわけでも、患者さんが悪いわけでもなく、仕組み上、仕方のないこと」です。最初の歯の状態から出発して、計画どおりに動かしていくわけですから、時間が経てばずれが出るのは自然なことです。
「20年しょうがないと思ってやってきた」
「自分たちもそれを20年しょうがないと思ってやってきた」
どれだけ丁寧に歯をスキャンしても、どれだけ工夫してアタッチメント(歯の表面につける小さな突起)をつけても、どのメーカーのマウスピースを使っても、「時間には勝てない」という状況が長く続いていたということです。
補足:ずれが出る原因はひとつではない
実際の臨床では、アンフィットの原因は「最初に全部作るから」だけとは限りません。患者さんがマウスピースを装着する時間が足りなかった場合、歯の動きが計画より遅れたり、予想と違う方向に動いたりした場合などにも、合わなくなることがあります。また、歯の動きやすさには個人差があります。「最初にまとめて作る仕組みそのもの」に焦点を当てて説明していますが、そのほかの要因もあることは知っておくとよいでしょう。
従来の対処法:どうしていたの?
アンフィットが起きたとき、これまでは次のような対応をするのが一般的でした。
- 「追加アライナー(リファインメント)」を作る。一度、現在の歯の状態をあらためてスキャンして、新しいマウスピースを外部メーカーに注文する。
- 数枚前のマウスピースに戻して、様子を見る。
- アタッチメントをつけ直す、つけ足す。
ただし、外部メーカーにマウスピースを注文すると、届くまでに数週間かかることがあります。外部に注文した場合は届くまでに「3週間ほど」かかることがあると触れられています。その間、患者さんは前のマウスピースで待つことになります。
結論:インハウスアライナーなら「そもそも起きにくい」
インハウスアライナーとは
「インハウス」は英語の in-house で、「自社内、院内」という意味です。つまり、インハウスアライナーとは、歯科医院の中で、歯のデータをもとに3Dプリンターなどを使ってマウスピースを作る方法のことです。外部のメーカーに注文して届くのを待つのではなく、院内でデータを作り、院内で製作します。
「世代が変わる」ほど大きな変化として捉えています。
従来の問題が、ほとんどそのまま解決(ソリューション)されます。
「3つの理由」
「インハウスなら、アンフィットへの対応は必要なくなる」という理由が、大きく3つ挙げられています。
- 必要なタイミングで、新しい型取りとプランニングをもとにマウスピースを作り直せること。
- その都度、歯の動きを見ながら調整できること(約2か月ごとに歯をスキャンする)。
- 素材を自由に選べること(シェイプメモリー=形状記憶のマテリアルなど)。
次の章から、この3つを順番に、できるだけ具体的に説明します。
理由① 「時間には勝てない」問題を、時間で解決する
歯が動くたびに、いまの歯に合わせて作り直せる
外部メーカーに注文するやり方では、最初に長い期間分のマウスピースを作るため、途中で歯が動いたぶんのずれは避けられませんでした。
一方、インハウスの場合、院内で素早くマウスピースを作れるため、歯が動いてきたタイミングで、そのときの歯の形をスキャンし、あらためて計画を立て、すぐに新しいマウスピースをプリントすることができます。「外注で3週間かかるのではなく、すぐにプリントして、すぐにどうぞ、と渡せる」時代だと説明されています。
「抗わなくていい」
「もう時間に抗わなくていい」
これまでは、「最初に作ったマウスピースを、いかに最後まで合わせ続けるか」に先生たちは苦労してきました。しかし、「歯が動いたら、その時点の歯に合わせて新しく作ればいい」という発想に変えれば、そもそもアンフィットで困る場面が減る、ということです。
「アンフィットして困った、というのはもう古い話題です」
患者さんにとっての意味
患者さんの立場から見ると、次のようなメリットが考えられます。
- マウスピースが浮いたまま、長い期間我慢して使う、ということが起こりにくくなる。
- 「合わないので、新しいのが届くまで待ってください」と言われる期間が短くなる。
- 計画どおりに歯が動いているかを、こまめに確認してもらえる。
もちろん、実際にどうなるかは医院の体制や、歯科医師の技術、患者さんの装着状況などによって変わります。ただ、「最初の1回で全部を決めてしまう」やり方に比べて、途中で修正しやすい仕組みであることは確かです。
理由② 約2か月ごとにスキャンして、計画を作り直す
当院のシステムでは必ず「2か月ごとに歯をスキャンし、そこから新しくプランニングを作る」という進め方をしていると説明されています。ここでいう「スキャン」は、口の中を光学カメラのような機械で読み取り、歯並びを3Dデータにすることです。粘土のような型取り材を使わなくてもよいので、患者さんの負担も少ないのが特徴です。
回数でいうと、6倍
従来のやり方では、スキャンして計画(シミュレーション)を立てるのは、1年か2年に1回程度でした。それが、2か月に1回になるということは、1年あたり6回。つまり、同じ患者さんに対して、計画づくりを約6倍の回数、行っていることになります。
「それだけ丁寧に見ている。絶対に歯を動かして、きちんと直す、というスタンス」
「何も見ないで3か月、4か月」は怖い
遠隔のモニタリングソフトなどを使って、3か月、4か月、ときには1年も患者さんを見ないまま矯正を進めるやり方について、「それは怖い」です。
理由として、次のような点を挙げています。
- 歯ぐきが下がってきていないか。
- 痛みなどのトラブルが起きていないか。
- 歯がきちんと動いているか。
これらは、実際に人間が(歯科医師が)診ないとわからない、という考え方です。
補足:歯ぐきの状態をこまめに確認する意味
矯正治療では、歯を動かすことで、歯ぐきや歯を支える骨にも負担がかかります。歯みがきがしにくくなってむし歯や歯周病のリスクが高まることもありますし、歯ぐきが下がる(歯肉退縮)ことが起こる場合もあります。定期的に通院して、お口の中を専門家に診てもらうことは、矯正の成果だけでなく、お口の健康を守るうえでも大切です。
コロナ禍の「遠隔」と、いまの考え方
コロナ禍のころ。感染が広がっていた時期は、できるだけ人と会わないことが求められました。そのため、矯正の世界でも「来院の回数を減らす」「遠隔でモニタリングする」という方法が広まりました。当時は3か月後、半年後の来院でも問題なかったです。
しかし、いまはコロナ禍とは状況が違います。「いまは、むしろ来てもらって、見て、早く直していくのがよい治療だ」という考え方。その理由として挙げられているのは、次のような点です。
- 患者さんに来てもらえば、歯が動いて引っかかった部分を見つけて、その場で対処できる。
- 歯の表面に汚れがたまりやすくなった部分があれば、その場でお掃除してあげられる。
- 問題があれば、早い段階で見つけて、すぐに直せる。
「来なくていいですよ」「予約が少なくて済みますよ」という考え方は、もう古いです
「どんどん来てもらって、どんどん見て、どんどん直す」ことが、いまの最新の考え方です。
患者さんにとっては「通う負担」とのバランスが大切
ここは、患者さんの立場から見ると、少し複雑な部分でもあります。通院の回数が少ないほうが、仕事や学校、育児と両立しやすいと感じる方も多いはずです。一方で、こまめに診てもらえることで、不具合を早く見つけてもらえるという安心感もあります。
大切なのは、「通院が多い・少ない」だけで良し悪しを決めないことです。次のようなことを、治療を受ける前に医院へ質問してみるとよいでしょう。
- 来院の間隔はどのくらいですか?
- 来院しない間は、どのように歯の動きを確認しますか?
- 合わなくなったときは、どのくらいで新しいマウスピースを受け取れますか?
- 追加の費用は、どのような場合にかかりますか?
「外注で3週間」から「すぐプリント、すぐにどうぞ」へ
「外注で3週間かかるのではなく、すぐにプリントして、すぐに渡せる時代になった」。マウスピースを待つ期間が短くなれば、そのぶん、マウスピースが合わない期間も短くなります。患者さんの立場から見ると、「待たされる時間が短い」ことは、わかりやすいメリットのひとつと言えるでしょう。
「インハウスアライナーの方が、より丁寧に患者さんとの治療に携われていると感じます」と述べています。実際に「アンフィットです、という報告がだいぶなくなりました」というやりとりも出てきます。
理由③ 素材を選べる:シェイプメモリーアライナー
素材によって、歯への力のかかり方が変わる
三つ目の理由は、マウスピースの「素材」です。外部メーカーのマウスピースでは、使う素材はそのメーカーが決めています。一方、インハウスの場合は、医院が使う素材を選べます。
マウスピースの素材によって、次のような違いが出ます。
- 歯にどのくらいの力が、どのくらい長く続くか。
- 長く使ったときに、形がどのくらい保たれるか。
- 唾液や温度の変化で、形や性質がどのくらい変わるか。
- 歯にどのくらいぴったり合うか。
「シェイプメモリー」とは
シェイプメモリーは、日本語にすると「形状記憶」という意味です。名前のとおり、変形させてもまた元の形に戻ろうとする性質を持った素材のことです。
この素材について、「ベスト・オブ・ベスト」だと高く評価しています。そして、「そのマテリアルが出ているのに、ほかのマテリアルを使うのは、もう残念でしかない」とまで述べています。ただし、続けて「いまのところは」「どんどん変わってくる」とも話しており、素材は今後も進化していく、という見方も示しています。
ワイヤー矯正の歴史になぞらえた説明
- ワイヤー矯正では、形状記憶の性質を持つ金属ワイヤーを使わない先生は、いまはほとんどいない。
- 形状記憶のワイヤーは、歯を動かすのにとても適している。
- ところが、マウスピース(アライナー)では、長い間そうした素材がなかった。
- 形状記憶の性質を持つアライナーが登場したのだから使わない理由はない。
つまり、「ワイヤー矯正では当たり前になった形状記憶の考え方が、ついにマウスピース矯正にも来た」
補足:直接プリントのアライナーとは
「ダイレクトプリントアライナー」とは、3Dプリンターを使って、マウスピースそのものを直接造形する方法のことです。従来のマウスピースは、まず歯の模型を3Dプリンターで作り、その上にプラスチックのシートをかぶせて成形する、という手順が一般的でした。ダイレクトプリントでは、この模型を作る工程やシートを成形する工程を省いて、マウスピースを直接出力します。素材を選べる自由度が高いことや、工程が少ないことが、メリットとして語られています。
なお、新しい素材や技術については、長期的なデータがまだ十分に蓄積されていないものもあります。「新しいから良い」と決めつけず、治療を受ける医院で、その素材の特徴や、実際にどのような結果が出ているのかを質問してみるとよいでしょう。
ここまでのまとめ:インハウスで何が変わるのか
従来型の外注アライナーと比較して、整理してみます。
- マウスピースが合わなくなったとき:従来型では、新しいマウスピースが届くまで待つ。インハウスでは、院内で作り直すため待ち時間が短い、と説明されている。
- 計画の見直し:従来型では、1〜2年に1回程度。動画のインハウスでは、約2か月ごとに見直す。
- 素材:従来型では、メーカーが決めた素材。インハウスでは、医院が素材を選べる。
- 通院:、「来てもらって、早く見て、早く直す」が基本という考え方。
公平な視点:知っておきたい注意点
ここまで主張を中心にまとめてきました。ただし、これは「話者の見解」です。実際に治療を受ける際には、次の点も、頭に入れておくことをおすすめします。
「インハウス=必ず良い」とは限らない
インハウスアライナーは、院内で設計・製作するため、歯科医師や歯科技工、スタッフの技術や経験、設備が、結果に大きく影響します。逆に言えば、医院の体制によって、できることに差が出やすい方法でもあります。外部メーカーのマウスピースにも、長年の実績や、多くの症例データがあるという強みがあります。どちらが優れているかは、一概には言えません。
外部メーカーのマウスピースも進化している
アンフィットは「しょうがないもの」とされてきた、と説明されています。しかし、外部メーカーのマウスピースも日々改良されており、最初の計画から、途中で追加のマウスピースを作る仕組みなどが整えられています。「外注だから必ずアンフィットが起きる」というわけではありません。
症例によって、向き不向きがある
マウスピース矯正は、すべての歯並びに向いているわけではありません。歯の動かし方が複雑なケースや、骨格に大きな問題があるケースでは、ワイヤー矯正などのほうが適している場合もあります。「どの方法が、自分の歯並びに合っているのか」を、複数の医院で相談してみるのも、ひとつの方法です。
矯正医院を選ぶときのチェックリスト
このブログやYoutubeをきっかけに、「自分が通う(または検討している)医院は、どうだろう?」と気になった方のために、医院に確認しておくと安心な項目をまとめました。インハウスかどうかに関わらず、役に立つ内容です。
治療の進め方について
- 治療前に、歯の動きのシミュレーションを見せてもらえるか。
- 最終的な歯並びの目標(ゴール)を、一緒に確認してくれるか。
- 途中で計画を見直す機会は、どのくらいの頻度であるか。
- 歯が計画どおりに動いていないとき、どう対応してくれるのか。
マウスピースが合わなくなったとき
- 「合わない」と感じたとき、まず何をすればよいのか(連絡先、受診の目安など)。
- 新しいマウスピースを作り直す場合、何日くらいで受け取れるのか。
- 作り直しにかかる費用は、最初の治療費に含まれているのか。
通院とお口のケア
- 通院の間隔は、どのくらいが目安か。
- むし歯や歯周病のチェックを、定期的にしてくれるのか。
- 歯ぐきの状態や、痛みについても診てもらえるのか。
素材と費用について
- 使っているマウスピースの素材は何か。なぜその素材を選んでいるのか。
- 治療費の総額と、追加でかかる可能性のある費用は何か。
- 治療が終わったあとの保定(後戻りを防ぐための装置)の費用や、通院はどうなるのか。
よくある質問
Q1. アンフィットとは、患者さんの使い方が悪いから起きるのですか?
「これは先生が悪いわけでも、患者さんが悪いわけでもなく、仕組み上、起きること」です。ただし、装着時間が短い場合など、使い方が影響して合わなくなることもあります。「合わないな」と感じたら、自己判断で我慢せず、早めに医院へ連絡しましょう。
Q2. マウスピースが合わないと感じたとき、そのまま使い続けてもいいですか?
自己判断で続けるのは、おすすめできません。合わないまま使い続けると、歯が計画どおりに動かなかったり、治療期間が延びたりする可能性があります。早めに担当の先生に相談しましょう。
Q3. インハウスアライナーは、どの医院でも受けられますか?
院内にスキャナーや3Dプリンターなどの設備があり、先生も専門的な学習をしている医院です。すべての医院で受けられるわけではありません。受けたい場合は、「院内でマウスピースを製作していますか?」と、医院に問い合わせてみましょう。
Q4. 2か月ごとのスキャンは、痛くありませんか?
スキャンは、小さなカメラのような機械を口の中で動かして、歯の形を読み取るものです。痛みはほとんどなく、粘土のような型取り材を口に入れるときのような、苦しさも少ないのが一般的です。ただし、口の開きが小さい方や、えずきやすい方は、少し負担に感じることがあります。気になる場合は、事前に相談してみてください。
Q5. 通院が増えるのは、負担になりませんか?
通院が増えるのは、負担に感じる方もいらっしゃるでしょう。ただ、「早く見て、早く直す」ことが、治療のうえで良いと考えられています。来院の頻度は、通える範囲かどうかも含めて、治療を始める前に、医院としっかり話し合うことが大切です。
Q6. 形状記憶(シェイプメモリー)のマウスピースなら、必ず早く歯並びが整いますか?
素材は、歯の動きやすさに関わる大切な要素のひとつですが、治療の期間や結果は、歯並びの状態や、装着時間、先生の計画など、さまざまな要素で決まります。「この素材だから必ず早い」とは言い切れません。素材の特徴は、医院で詳しく聞いてみるとよいでしょう。
Q7. 今、他院でマウスピース矯正を受けていて、合わなくて困っています。どうしたらいいですか?
まずは、いま通っている医院の先生に、状況を相談してください。マウスピースが合わない原因はさまざまで、対処法も、ケースによって変わります。それでも不安が解消されない場合は、別の矯正医院で、セカンドオピニオン(別の先生の意見)を聞いてみることもできます。
まとめ:患者さんにできること
ここまでの内容を、あらためて整理します。
- マウスピース矯正では、治療が進むにつれて、マウスピースが歯に合わなくなる「アンフィット」が起こり得る。
- 外部で一括製作する従来型では、この問題は仕組み上、避けにくかった、と説明している。
- インハウスアライナーなら、必要なタイミングで、院内でマウスピースを作り直せるため、アンフィットを根本から減らせる、というのが動画の主張。
- その理由は、(1)作り直しがすぐできる、(2)約2か月ごとにスキャンして計画を見直す、(3)素材を選べる、の3つ。
- 遠隔で見守る時代から、「来てもらって、早く見て、早く直す」時代へ、という考え方が示されている。
ただし、これらは、あくまで動画の話者の考え方です。矯正治療の方法には、それぞれ強みと注意点があり、どれが「一番良い」かは、人によって違います。大切なのは、次の3つです。
- 治療を始める前に、方法やメリット・注意点、費用を、納得いくまで聞くこと。
- 治療中に「合わない」「おかしい」と感じたら、早めに医院に相談すること。
- 必要に応じて、別の医院の意見も聞いてみること。
矯正は、数か月から数年にわたる、長い治療です。自分に合った方法、そして、安心して相談できる先生と出会えることが、満足のいく結果への近道です。この記事が、そのための判断材料のひとつになれば幸いです。
用語集
- アライナー(マウスピース):歯を動かすための、透明なプラスチック製の装置。
- アンフィット:マウスピースが歯にぴったり合わず、浮いたりすき間ができたりする状態。
- インハウスアライナー:歯科医院の中で、スキャンやプランニング、マウスピースの製作まで行う方法。
- 外注(外部製作):マウスピースを、外部のメーカーに依頼して作ってもらうこと。
- スキャン(口腔内スキャナー):専用の機器で、歯の形を読み取って3Dデータにすること。
- プランニング(シミュレーション):歯をどのように動かすかを、パソコン上で計画すること。
- ステージング:歯を動かす順番や段取りのこと。
- アタッチメント:歯の表面につける、小さな突起。マウスピースの力を伝えやすくする。
- モニタリング:歯の動きを、遠隔や来院で確認すること。
- シェイプメモリー(形状記憶):変形しても、元の形に戻ろうとする性質。
- ダイレクトプリントアライナー:3Dプリンターで、マウスピースを直接造形したもの。
- リファインメント(追加アライナー):途中でずれを修正するために作る、追加のマウスピース。
- 保定:矯正で動かした歯が、元に戻らないように固定すること。
- 歯肉退縮:歯ぐきが下がって、歯の根元が見えてくる状態。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。ごきげんよう。
こちらの内容は動画でもご覧いただけます



