ごきげんよう 尾島です
今日は、患者様からよくいただくご質問にお答えします
矯正治療後の保定装置、どれを選ぶ?マウスピース矯正経験者に最適なリテーナーとは
矯正歯科治療が終わった後、美しい歯並びを維持するために欠かせないのが「保定装置(リテーナー)」です。せっかく時間をかけて整えた歯並びも、保定装置を正しく使わないと後戻りしてしまう可能性があります。
今回は、矯正治療後の保定装置について、それぞれの特徴と、特にマウスピース矯正を受けた方に最適な選択肢をご紹介します。
保定装置は大きく分けて3種類
矯正歯科治療後に使用する保定装置には、主に3つのタイプがあります。
1. 固定式リテーナー(リンガルリテーナー)
歯の裏側にワイヤーを接着するタイプの保定装置です。一般的には犬歯から犬歯(前歯6本)の裏側に細いワイヤーを固定します。
このタイプが選ばれる理由:
従来のワイヤー矯正(マルチブラケット装置)で治療を受けた患者様は、治療中ずっと固定式の装置を使用してきたため、自分で取り外す習慣がありません。そのため、取り外し式の保定装置だと「つい忘れてしまう」ことが多いのです。
矯正装置が外れた開放感から、保定装置の装着を忘れてしまい、気づいたら歯並びが後戻りしていた…というケースは少なくありません。固定式リテーナーなら、24時間装着されているため、そうした心配がありません。
2. ベッグタイプ・ホーレータイプ(床矯正装置型リテーナー)
入れ歯のような形状で、表側にワイヤー、裏側にプラスチックのプレートがあり、カチッとはめるタイプの保定装置です。大学病院の矯正歯科などでもよく使用されています。
このタイプの特徴:
最大の特徴は、噛む面(咬合面)が露出していることです。表側のワイヤーと裏側のプラスチックで歯列を両側から支えながらも、上下の歯が直接噛み合うことができます。
この特性により、以下のメリットがあります:
- 微調整が可能: わずかな後戻りがあっても、ワイヤー部分を調整することで歯を正しい位置に戻すことができます
- 最終的な噛み合わせの確立: 歯には自然に噛み合う位置へ動く習性があります。噛む面が露出しているため、この自然な力を利用して、最終的な噛み合わせを作り上げることができます
ワイヤー矯正では、治療の最終段階で細かい調整が難しいケースもあるため、保定期間中に理想的な噛み合わせを完成させる目的で、このタイプが推奨されてきました。
3. クリアリテーナー(透明マウスピース型保定装置)
透明なマウスピース型の保定装置で、歯列全体を覆うタイプです。
マウスピース矯正経験者にはクリアリテーナーが最適な理由
当院では、マウスピース矯正で治療を受けた患者様には、クリアリテーナーをおすすめしています。その理由を詳しくご説明します。
1. すでに装着習慣が身についている
インビザラインなどのマウスピース矯正では、1日20時間の装着が基本です。1年〜2年間、毎日20時間装着し続けてきた患者様にとって、この習慣はすでに生活の一部となっています。
矯正治療が終わってリテーナーに移行しても、同じように20時間装着することに抵抗がありません。むしろ、慣れ親しんだ装着感のほうが安心感があります。
さらに、保定期間が進むにつれて、装着時間を段階的に減らしていきます:
- 最初の数ヶ月:20時間
- その後:15時間→12時間→10時間
- 最終的には就寝時のみ
このように徐々に減らしていくことで、無理なく保定を続けられます。
2. マウスピース矯正は精密な噛み合わせ調整が得意
「噛む面が覆われていると、最終的な噛み合わせの調整ができないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、インビザラインをはじめとするマウスピース矯正は、0.25ミリ単位での精密なコントロールが可能です。この微細な移動精度により、ワイヤー矯正と比較しても、理想的な噛み合わせを実現することが得意なのです。
治療の最終段階で、狙った位置にピタリと歯を移動させることができるため、保定装置で噛む面を覆っていても問題ありません。むしろ、噛む力を全体に分散できるメリットがあります。
3. 快適性と審美性に優れている
ベッグタイプなどの従来型リテーナーと比較すると、クリアリテーナーには以下の利点があります:
快適性:
- ワイヤーがないため違和感が少ない
- 薄く軽量で、装着していることを忘れるほど
- 発音への影響が最小限
審美性:
- 透明なので目立たない
- 人と話す時も気にならない
- 日中も自信を持って装着できる
4. 清潔で衛生的
固定式リテーナーとの大きな違いは、取り外して洗浄できる点です。
- 歯垢(プラーク)が溜まりにくい
- 歯石の付着リスクが低い
- リテーナー自体も毎日洗浄できる
- お口の中を常に清潔に保てる
矯正歯科治療後も、歯の健康を維持することは非常に重要です。清掃性の高いクリアリテーナーは、虫歯や歯周病のリスク軽減にも貢献します。
5. 最も強力な保定力
クリアリテーナーは、歯を360度全方向から包み込む構造です:
- 頬側(唇側):外側からサポート
- 舌側:内側からサポート
- 噛む面:上下方向からサポート
3方向すべてを覆うことで、あらゆる方向への歯の移動を防ぎ、最も強力な保定効果を発揮します。
6. デジタルデータで後戻りにも即対応
当院では、すべての患者様の歯並びをデジタルスキャンでデータ保存しています。
従来のように粘土のような材料で歯型を取り、石膏模型を作成する必要はありません。デジタルデータが残っているため:
- 万が一わずかな後戻りがあっても即座に対応可能
- 新しいクリアリテーナーを素早く作製できる
- 追加の歯型取りが不要で患者様の負担が少ない
わずかな後戻りであれば、新しいクリアリテーナーで短期間で元に戻すことができます。これは、デジタル矯正歯科ならではの大きなメリットです。
クリアリテーナーが選ばれる理由まとめ
マウスピース矯正を受けた患者様にクリアリテーナーが最適な理由をまとめると:
✓ 習慣化されている – 1日20時間の装着に慣れている
✓ 快適 – 透明で目立たず、違和感が少ない
✓ 清潔 – 取り外して洗浄でき、衛生的
✓ 強力な保定力 – 360度全方向から歯をサポート
✓ 後戻り対応 – デジタルデータで素早く再作製可能
これらすべての利点を兼ね備えたクリアリテーナーは、マウスピース矯正後の保定装置として、これ以上ないほど理想的な選択肢だと言えます。
まとめ:美しい歯並びを一生の財産に
矯正歯科治療は、保定期間まで含めて初めて完了します。せっかく時間とお金をかけて手に入れた理想の歯並びを、一生の財産として守っていくために、ご自身に合った保定装置を選択することが大切です。
ワイヤー矯正を受けた方には固定式リテーナーやベッグタイプが安心、マウスピース矯正を受けた方にはクリアリテーナーが最適です。
美しい歯並びは、お顔の印象を明るくし、自信をもたらしてくれます。適切な保定で、その笑顔を長く保ちましょう。
矯正治療後の保定装置や歯並びの維持についてのご相談は、お気軽に当院までお問い合わせください。経験豊富な矯正歯科医が、あなたに最適な保定方法をご提案いたします。
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▶︎尾島賢治先生の矯正治療が受けられるクリニック情報
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