高性能3D プリンターの登場はマウスピース矯正の常識を大きく変えた

デジタルテクノロジーの進化は、アライナー矯正治療の進化に大きく貢献したと考えています。とくにこの数年、シミュレーションソフトや3D プリンターの技術が大きく進化し、そしてアライナーの新素材・形状記憶アライナーの登場でアライナー矯正治療は次の世代へと進化が進んでいます。

高性能3D プリンターの登場

 3D プリンターは矯正治療の分野において当初は歯型模型のプリントのみの使用目的でした。その模型より製作されるリテーナーの2つが 3D プリンターの矯正治療分野における使用用途でした。そして、模型プリント製作も 当初は2〜10時間かかっていた。メーカーによっては1日かかるものもありました。

しかし、テクノロジーの進化により、3Dプリント時間の短縮と多数プリントが加速しました。その結果、外注型のアライナー(第3世代)から内製化のデジタルインハウスアライナー(第4世代)の時代が始まりました。

高性能次世代形状記憶アライナーの登場

スマイルイノベーション矯正歯科でも、2016年くらいから3Dプリンターを導入して、保定用マウスピース(リテーナー)用の模型を3Dプリントしていました。
石膏模型に比較して、3Dプリンターの模型は、操作性がよく、壊れにくい。石膏模型はすぐ割れるので扱いに気を使います。
また、万が一壊れた時にも再度3Dプリントできるという安心感があります。石膏模型は壊れたら、再度患者様をお呼びして、歯型から、、ということになるので大変です。

ですが、模型を作ってから、熱可塑性のマウスピースシートをプレスしてマウスピースを製作すると、その後模型は必要なくなります。多くの模型が破棄されていました。

3Dプリンターで直接マウスピースをプリントできたらいいのに、と誰もが考えていたと思います。そしてそれが2019年、ついに発表されました。

2019 年に Graphy が 3D プリンターから直接アライナーをプリントする新素材「3D Printable Shape MemoryAligners」を開発し、公開されました。その後、世界特許を所得し、すぐに世界展開がはじまりました。日本では 2024 年 1 月に薬事承認が得られました。

この技術によって、模型のゴミが出ない、という何とも環境に優しい3Dプリンターによるマウスピースの製作が可能になったのです。

形状記憶アライナーについては、今後もこのブログで解説していきます。

「アライナー/ マウスピース矯正で難しいケースはありますか?」というご質問に対して

ごきげんよう
スマイルイノベーション矯正歯科の尾島です

「アライナー/ マウスピース矯正で難しいケースはありますか?」というご質問をよくいただきます。本日は、このご質問についてお答えします。

そして、先日2025年4月10日(木)は『アライナージェネレーション〜Dr.尾島賢治のテクニック & 分析ポイント131のすべて(クインテッセンス出版)』の発売日でした。すでにご予約注文で多くの先生方に手にとっていただけているようで大変嬉しいです。
Amazon, 楽天BOOKs では、早くから「在庫切れ」となっておりました。
ありがとうございます。

シエン社オンラインにてご購入いただけます「アライナージェネレーション」

さて、前述のご質問に戻ります。

この質問をChat GPT に聞いてみましたら、以下の回答となりました。

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Chat GPT の回答 (回答日などによって内容は変わるかもしれません)

はい、アライナーまたはマウスピース矯正治療には、いくつかの難しいケースがあります。以下はいくつかの例です:

1. 重度の叢生(ガタガタ)の歯並び:重度の歯並びの不正の場合、アライナー矯正だけでは完全な矯正が難しい場合があります。このような場合、従来の矯正治療法が必要となることがあります。

2. 歯の回転や傾きが大きい場合:歯が大きく回転している場合や傾いている場合、アライナー矯正だけではそれを修正するのが難しいことがあります。

3. 骨格的な不正:歯並びの問題が顎の骨格的な不正によるものである場合、アライナー矯正だけでは矯正が難しいことがあります。

4. 矯正治療の適応外の症状:一部の歯の状態や矯正治療に適さない状態がある場合、アライナー矯正は適切な治療法とはならないことがあります。

総じて、アライナー矯正は軽度から中等度の歯並びの不正に効果的であり、多くのケースで効果的な治療法として使用されます。ただし、上記のような難しいケースに関しては、歯科医との相談をおすすめします。

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ということでした。

私の見解をお話ししますと、結論から言うとどのような治療方法も「ドクターの診断力、技術力による」といえると考えています。

どのような装置、ワイヤー矯正を使っても、裏側の矯正装置を使っても、マウスピース矯正を使っても、治せるもの、治せないものがあります。結局はドクターの診断力にかかっています。装置が治すわけではなく、マウスピース矯正においても、初めの診断、治療途中の修正力が伴わなければ良い装置だとしても治療はうまく進みません。

スマイルイノベーション矯正歯科では、CTと歯型のデータを合わせて詳細に分析を行います。インハウスアライナー矯正システムを採用しており、必要なマウスピースは全て院内で作製しています。

インハウスアライナー矯正システム2〜3ヶ月ごとに治療分析を行い、ゴールに向けて治療を進めてきますので、治療の途中の修正や移動方針についても都度最も良い方法で行うことができます。

「アライナー/ マウスピース矯正で難しいケースはありますか?」

歯並びや、ドクターの技術にもよりますので、まずはクリニックにご相談ください。

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スマイルイノベーション矯正歯科の無料矯正相談
03-5909-7710

平日:11:00〜13:00 / 15:00〜19:00
土曜:10:30〜13:00 / 14:00〜17:00
休診日:木曜・日曜・祝日
都内3箇所(銀座・新宿・本郷三丁目)にて

ご予約お待ちしております
https://smile-i-ortho.jp/form/consultation/

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マウスピース矯正のアタッチメントはなぜ必要なの?ということについて解説します

皆さんごきげんよう尾島です。
今日はインビザラインあるあるの患者様向けの内容です。

今日はインビザラインあるあるシリーズの患者さん向けの中でも
多くのマウスピース矯正を行っている患者様にとって当てはまるお話をします。

 

インビザライン矯正では、アタッチメントと呼ばれる白い樹脂の白い突起を歯の表面につけることが多いです。

透明なマウスピースを装着するだけで、なぜ歯が動くのか?それには秘密があって、アタッチメントというものが歯を動かすときにサポートしてくれているんですね。このアタッチメントは白いし小さいので、そんなに目立たないのですが、それでも「なぜこの歯にアタッチメントが必要なんだろう?」とか「全部の歯が動いているのに、アタッチメントが付いている歯と付いていない歯があるけどなんで?」とか思いますよね。

 

なので今日はこのアタッチメントというものは何なのかと言う事について
たっぷりお話をしていきますのでぜひ最後までご覧ください。

最後までご覧頂くと「アタッチメントってありがとう」ってこのおかげで私の歯が…みたいな感じになりますのでぜひ最後までご覧ください!

まずアタッチメントとは何かというね歯の表面にレジン(樹脂)プラスチックです、レジンを接着してアライナーが歯のコントロールをしやすくするために付けるものです。つまり歯の表面に、歯と同じ白い材料でピタッと接着する訳です。アタッチメントは歯の色と同じで、特に目立ちません。

余程「ん?」って見ているね「何か付いてる?」っていうのを見つけた人は多分あなたの事を好きなんでしょうね。

なので、気付かれた!じゃなくて、あ、この人は私の事をいっぱい見てくれてありがとうございますって感じで気持ちを切り替えてくださいね

このアタッチメントを付ける事で先ほどお話ししたように
歯のコントロールをしやすくするというのはどういう事?ってことなんですけど

歯というのは皆さんが見えてるのは歯冠と言って歯の頭の部分だけなんですけど実は歯肉の下に歯根という根っこがあってさらに骨があるんです

この歯を動かそうとした時に、マウスピースが歯をつかんで歯を動かすわけですが、何もないと歯は丸い形態をしているのでマウスピースが滑ってズレてしまいますよね。そういう時にこのアタッチメントがある事によって引っかかりが出来るので、歯をぐっと引っ張るような挺出っていうんですけど挺出移動などもする事が出来るようになります。

マウスピース矯正を成功するための鍵は、マウスピースがしっかり歯を掴むことにあります。せっかく患者様がマウスピースをしっかり使っていても、マウスピースが歯を掴むことができなければ目的の移動コントロールができないからです。

そう考えると、アタッチメント君ありがとうございます!と
言いたくなりませんか。

つまりインビザライン矯正のマウスピースだけだと移動しにくい歯のコントロールや、歯の形態があります。
「マウスピース矯正では歯が動かない」という場合は、もしかするとこのアタッチメントの種類や設置方法に問題がある場合も考えられますね。
アタッチメントのコントロールもとても重要です。

インビザラインのシミュレーションは、先生がそれぞれ細かく治療計画を作成しますが、この時にアタッチメントの種類なども先生が決定するからです。

アタッチメントは、全部ガチッとくっついて初めて、複雑な歯の移動が可能になるんですね。

ありがたい!
アタッチメントいっぱい付けたい!

・・・

そういう訳でも無いんです
そういう訳でも無いんですよ!!!

スマイルイノベーション矯正歯科でもインビザライン矯正治療を開始した2006年頃、もう16年前くらいになります。
その時は、
歯を移動するためには、何かしら装置をつけないと動かないでしょうと思っていました。だから初めの頃は全部の歯にアタッチメントをつけてたんです。

アタッチメントが付いているほど、ちゃんと動くんじゃないかと思っていました。多い方がいいに決まっている、なんて。
前歯から奥歯まで、全部の歯にです。(16年前の話です!)

でもねそうすると、大変な事がありました。
アタッチメントがいっぱい付いてるとマウスピースが外せないんです。

んっ!無理!
で無理に外そうとすると

アタッチメントがバリって取れたりとかね。

昔のインビザラインのマウスピースの素材は、今に比べるとかなり硬かったので余計、アタッチメントが外れちゃう、というのが何度もありました。

1個、2個ならいいのですが、一気に10個とか外れる時もあって、それはもう大変でした。

なので今は歯にアタッチメントを付けることはありますが、この歯には付ける、付けないっていうのを色々分けてます。
全部付ければいいという訳じゃないんですね!
奥が深いですねそこの部分がね

それを考えながら付けていくんですけども

まず代表的なのがね挺出移動
歯を引っ張り出す時に、こレはほとんどの場合でアタッチメントが必要です。

 

アタッチメントがあるとガチっと引っかかりますので、挺出移動にはアタッチメントがあった方がいいかと思います。
オープンバイトの患者様では、前歯を挺出、引っ張ることがありますので、その場合はその移動の時だけ前歯にアタッチメントを付けさせていただくことがあります。

アタッチメントがある事によってより適合が良くなるので前歯の細かいコントロールが出来る様になります。

前歯を綺麗に並べたいなって時にもアタッチメントがあった方がいいです

歯軸だったり、角度を変えたりとかそういう事が出来るんです

アタッチメントがある事によって更に細かく、コントロールできると思っていただけると嬉しいです。

次に近遠心移動、手前とか奥とか横に動かしたりする時にもアタッチメントがある事によって歯体移動がしやすくなります。

傾斜しないで歯体移動したい時にもアタッチメントが必要な場合が多いです。

 

あと回転移動ですね、傾いている奥歯を起き上がらせたり、前歯がねじれていたりする捻転という状態の場合にもアタッチメントをつけることがあります。

じゃあもうアタッチメント全部必要やん!てね
それをどのタイミングでどの歯に付けるのかっていうのも

先生方が全部決めてるんです!

マウスピース矯正で多くの方に知っていただきたいことは
歯型を取ったら全部自動的にシミュレーションができたり、アタッチメントが決まったり、するわけではないのです。仮のプランはインビザライン社さんが作って送ってくれますが、それを元に細かいところは修正しないと良いプランにはなりません。
なので、先生方のコントロール次第で、治療結果は大きく変わってきます!

 

アタッチメントの数や、タイミング、大きさや形など、患者様ごとに必要なものを決定していきます。

今日はマウスピース矯正でよく聞く、アタッチメントというものはなぜ必要なの?ということに付いてお話ししました。

アタッチメントをできるだけ付けたくない時はどうすればいいの?

そうですね。
例えばワイヤー矯正をします!という時に「金属の装置とワイヤーを付けたくないんです、、」ということになると矯正治療できません。
インビザライン矯正の場合はほとんどの場合で「アタッチメントは装着した方がいい」と考えています。これは僕が16年インビザライン矯正治療をやってきて、その結果、そう考えています。

最近は、インハウスシステムによるマウスピース矯正治療を行うようになってきて、少し変わってきています。他のブログでも書かせていただいていますが、インハウスとなると、マウスピースの形態を変えたりすることができるので、アタッチメントをかなり減らせています。

今、スマイルイノベーション矯正歯科でインハウスシステムのマウスピース矯正で矯正治療をスタートする患者様は、アタッチメントを装着せずに治療をスタートしています。

本当にアタッチメントが嫌だ!という場合は、そういう新しいマウスピース矯正治療での矯正治療を検討されてもいいかもしれませんね。

もちろん、必要な時もありますので、まずは先生に相談してみてくださいね。

最後までご覧頂きありがとうございました

それでは皆さんごきげんよう

 アタッチメントについては動画でも解説していますのでぜひご覧ください↓