尾島先生のクリニックで使っているマウスピースはどこで作ってる?

マウスピース矯正、その「素材」はどこで作られている? ―歴史と未来から見えてくること―

矯正治療に通われている患者様から、「先生のクリニックで使っているマウスピースって、どこで作っているんですか?」というご質問をいただくことがあります。今回はこの質問をきっかけに、当院での取り組みと、世界のマウスピース矯正(アライナー矯正)の歴史、そして今後どうなっていくのかについて、わかりやすくお話しします。

1. 今、当院で起きている変化

以前は歯を動かす際に「アタッチメント」という小さな突起を歯の表面につけ、それを目印にマウスピースがしっかり歯をつかむようにしていました。アタッチメントがないと、マウスピースが歯にうまくフィットせず、少しスカスカした状態になってしまうことがあったのです。

ところが最近では、アタッチメントを使わなくても、マウスピース自体がしっかりと歯をグリップできるようになりました。これにより、歯の移動の精度や効率が大きく変わってきています。

「なぜこんなことが可能になったのか?」――その答えを知るには、アライナー矯正そのものの歴史を振り返る必要があります。

2. アライナー矯正、約100年の進化の歴史

第1世代(1926年)― すべて手作業の時代

世界初のマウスピース型矯正装置が登場したのは、なんと1926年。今からおよそ100年前のことです。当時は、歯型を粘土のような材料で取り、それに石膏を流し込んで模型を作っていました。そして、その模型を1本ずつ切り分けて並べ替え、マウスピースをプレス(圧着)して作るという、非常に手間のかかる方法でした。

この方法の最大の制約は、「1つの歯型からは1枚のマウスピースしか作れない」という点です。歯を少しずつ動かすには何枚もマウスピースが必要になるため、効率はかなり低かったのです。

第2世代(1998年)― デジタル(CAD/CAM)の登場

第1世代から約70年が経った1998年、ついにデジタル技術が導入されます。歯型を粘土状の材料で取り、それをスキャンしてデータを反転させることで、石膏模型ではなく「デジタルの歯の模型」を作れるようになりました。

これがまさに、デジタルアライナー矯正(デジタルオルソ)の始まりです。デジタルデータ化したことで、コンピューター上で歯を1本ずつ動かし、最終的なゴールまでの移動をシミュレーションすることが可能になりました。1つの歯型から、何十枚というマウスピースを段階的に作れるようになったのです。

ちなみに、世界初のデジタルアライナーである「インビザライン」も、まさにこの技術がきっかけで誕生しました。それまでは各クリニックが自院で(内製で)マウスピースを作っていましたが、この第2世代以降は「外部の専門ラボに製作を委託する(外注型)」という形が主流になっていきます。つまり、1926年から1998年までの約70年間は「完全内製」、それ以降は「外注型」へと大きく流れが変わったわけです。

2011年 ― 口腔内スキャナーの登場

2011年頃になると、口の中を直接スキャンできる「光学スキャナー」が普及します。粘土で歯型を取る必要がなくなり、より正確で快適にデータを取得できるようになりました。

第4世代(2015年頃)― 3Dプリンターによる模型製作

2015年あたりからは、3Dプリンターの性能が飛躍的に向上します。スキャンしたデータから3Dプリンターで歯の模型を作り、その模型にマウスピース素材をプレスする、という方法が可能になりました。3Dプリンター自体も小型化・高性能化が進み、ここから再び「内製化」への道が開かれていきます。

第5世代(2019年)― アタッチメント不要の時代へ

そして2019年、大きなイノベーションが起こります。それが「模型を作らずに、3Dプリンターで直接マウスピースそのものを作る」という第5世代の技術です。さらに「形状記憶」機能を持つ素材が使われることで、マウスピースのグリップ力が劇的に向上しました。

少し詳しく説明すると、従来のプレス式では、歯のくぼみ(アンダーカット)部分にぴったり食い込むような形状にすると、マウスピースが外せなくなってしまうという問題がありました。そのため、グリップ力をある程度犠牲にして、外しやすい形に作る必要があったのです。

しかし第5世代の3Dプリント技術では、模型を介さずに直接マウスピースの形状を作り出せるため、アンダーカットの部分までしっかりと密着させることができます。これにより、これまでアタッチメントが必要だった「歯を引っ張る・押し出す」ような移動も、アタッチメントなしで実現できるようになったのです。

3. これから、矯正治療はどう変わっていくのか

ここからは未来の話です。結論から言うと、今後は「内製型」のアライナーがどんどん主流になっていくと考えられます。理由はシンプルで、「便利だから」です。

身近な例で考えてみましょう。昔は、何かをコピーしたいときは印刷屋さんに行く必要がありました。写真を撮ったらカメラ屋さんに現像を頼みました。電話をかけるには電話ボックスに行きました。今では、すべて自分の手元でできてしまいます。

矯正治療における「外注」も同じです。設備や技術、人材が整っていなかったために外注せざるを得なかったわけですが、3Dプリンターやシミュレーション技術、素材が整ってくれば、各クリニックで「内製化」できるようになっていきます。

当院でも、内製化に移行してからおよそ5年になりますが、そのメリットの大きさから、もう外注には戻れないと感じています。これは日本だけの動きではありません。海外、特にヨーロッパの矯正歯科医たちの間でも、今まさに「インハウス(内製)アライナー」への注目が急速に高まっています。

10年後には3Dプリンターの性能がさらに進化し、データを送信してから数分でマウスピースが出力できるような時代が来るかもしれません。テクノロジーの進化のスピードを考えると、決して大げさな話ではないでしょう。

それでも「外注型」が残る理由

とはいえ、外注型のアライナーがすべてなくなるわけではありません。これから矯正治療を学び始める先生や、まだ自院に設備を整えていないクリニックにとって、外注は今でも非常に便利な選択肢です。歯型を送れば、誰でも同じクオリティのマウスピースを受け取ることができるからです。

4. よくあるご質問

  1. マウスピースって、どのクリニックで作っても同じものですか?

外注型のマウスピースであれば、基本的にどのクリニックでも同じ素材・同じクオリティのものが届きます。しかし、内製型に関しては事情が異なります。

たとえるなら、ピザの生地を毎日大量に焼いている専門店と、最近かまどを導入したばかりのレストランとでは、同じ味にはならないのと同じです。内製化が進むクリニックほど、トレーニングや経験の積み重ねによって、より高度で精密なマウスピースを提供できるようになっていきます。今後は「そのクリニックが外注か内製か」、そして「内製の中でもどれだけ経験を積んでいるか」によって、提供される治療の質に差が生まれていく時代になるでしょう。

  1. 内製化にはどんなメリットがあるのですか?

これまでお話ししてきた通り、より自由度の高いプランニング、より精密な歯の移動、そしてアタッチメントを使わなくても済む快適さなど、患者様にとって大きなメリットがあります。メリットがなければ、わざわざ手間のかかる内製化を行う理由はありません。

おわりに

当院で使用しているマウスピースは、内製型のアライナーとして、専門のテクニシャンが製作を担当しています。さらに私たちは、より歯が動きやすいマウスピース素材やアプローチ方法について、日々研究を重ねています。今後も、より良い治療をお届けできるよう、技術と知識のアップデートを続けてまいります。

こちらの内容は動画でもご覧いただけます

 

尾島賢治先生の無料矯正相談

 

尾島先生のクリニックで使っているマウスピースはどこで作ってる?

当院のマウスピースはどこで作っているの?

~アライナー矯正の歴史と、これからの未来~

はじめに

「尾島先生のクリニックで使っているマウスピースって、どこで作っているんですか?」

患者さんからよくいただくこの質問。実は、この答えの裏には矯正治療の100年の歴史と、当院が歩んできた道のりが詰まっています。今日は3つのパートに分けてお話しします。

PART 1|当院のマウスピース、どこで作っているの?

2007〜2019年:「外注型」の時代

当院は2007年に本郷で開業し、現在は新宿・銀座を含む都内3院を展開しています。

開業当初から2019年まで、当院ではインビザラインを使用していました。インビザラインとは、矯正歯科医が歯型データと治療計画を送ると、専門企業がマウスピースを製造して届けてくれる「外注型」のシステムです。

ピザ屋さんが生地を外の工場から仕入れてくる、いわば「外注ピザ」のようなイメージです。

当時は3Dプリンターの性能やシミュレーションソフトウェアがまだ発展途上。外注の方がクオリティが高かった時代でした。

2020年〜現在:「内製型」へのシフト

2019年、矯正治療に革命をもたらす新素材が登場します。それが**形状記憶マウスピース(シェープメモリーアライナー/SMA)**です。

  • 2019年:世界で認可取得
  • 2020年:当院で導入開始
  • 2024年1月:日本でも医療機器として正式認可
  • 2024年11月:当院患者さんのデータが海外学術論文に掲載

そしてこの新素材の登場とともに、当院は**自院内でマウスピースを製造する「内製型」**へと移行しました。

お蕎麦屋さんが自分で麺を打って提供する、「手打ち蕎麦」のようなイメージです。

内製型になって変わったこと

外注型(以前) 内製型(現在)
飛行機で届くのを待つ その場で素早く対応できる
文章でしか細かい指示を伝えられない 先生のアイデアをすぐに反映できる
修正のやり取りに時間がかかる 細かい調整・修正がすぐ可能
外注先のルールに縛られる 制約なく自由に設計できる

PART 2|マウスピース矯正、100年の歴史

実は、マウスピース矯正の歴史は意外と長いのをご存知ですか?

第1世代(1926年〜)

粘土で歯型を取り、石膏模型からマウスピースを1枚ずつプレス。1つの歯型から1枚しか作れない時代でした。

第2世代(1998年〜):デジタル化の始まり

歯型データをスキャンしてデジタル化。コンピューター上で歯を動かすシミュレーションが可能になり、1つのデータから複数枚のマウスピースを設計できるようになりました。これがインビザライン誕生のきっかけです。

ただし、ここで一度「外注型」が主流になりました。

第3世代(2011年〜)

口腔内スキャナーが登場し、より精密にデータ化が可能に。

第4世代(2015年〜)

3Dプリンターの性能が大幅に向上・小型化。クリニック内での製造(内製化)が現実的になり始めます。

第5世代(2019年〜):現在

形状記憶素材のマウスピースを、模型を使わず3Dプリンターで直接プリントする技術が登場。これにより、歯のくびれ部分をしっかりつかむ「グリップ力」が飛躍的に向上しました。

アタッチメント(歯に付ける突起)なしでも、歯をしっかり動かせるようになったのはこの技術革新のおかげです。

PART 3|これからの矯正治療、どうなる?

内製化がスタンダードになる時代へ

コピー機が家庭に普及したように、フィルム写真がデジタルに変わったように、矯正治療の世界でも内製化の波は止まりません。

世界の矯正歯科医たちが今もっとも注目しているのが「インハウス(院内製造)アライナー」。尾島先生自身も、内製化にシフトしてから海外での講演依頼が増えたほど、国際的にも注目されている分野です。

「どこで作っても同じ」ではなくなる

外注型の場合、経験の浅い先生も、ベテランの先生も、同じ企業が作る同じ素材のマウスピースが届きます。

しかし内製型になると話は変わります。

「チェーン店のピザ」と「職人が焼くピザ」が同じ味のはずがないように、内製型のクオリティはそのクリニックの技術・経験・研鑽に直結します。

当院は内製化から約5年。毎年クオリティは着実に上がっており、もう外注型には戻れないほど大きなメリットを実感しています。

10年後の未来は?

3Dプリンターの進化が続けば、数分でマウスピースがその場で完成する時代も遠くないかもしれません。技術の進歩とともに、矯正治療はさらに快適で精密なものへと進化していきます。

まとめ

  • 当院のマウスピースは院内の専門技工士が内製しています
  • 形状記憶素材(SMA)を使用し、アタッチメントなしでも高精度な歯の移動が可能
  • 外注型と内製型では、クオリティの「差が出やすさ」がまったく異なります
  • 今後は世界的に内製型へのシフトが加速していく見込みです

歯並びが気になる方へ 無料の矯正相談を随時受け付けています。お口の写真を撮影し、どんな治療が合うかをご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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尾島先生のクリニックで使っているマウスピースはどこで作ってる?

当院のマウスピースはどこで作っているの?

~アライナー矯正の歴史と、これからの未来~

はじめに

「尾島先生のクリニックで使っているマウスピースって、どこで作っているんですか?」

患者さんからよくいただくこの質問。実は、この答えの裏には矯正治療の100年の歴史と、当院が歩んできた道のりが詰まっています。今日は3つのパートに分けてお話しします。

PART 1|当院のマウスピース、どこで作っているの?

2007〜2019年:「外注型」の時代

当院は2007年に本郷で開業し、現在は新宿・銀座を含む都内3院を展開しています。

開業当初から2019年まで、当院ではインビザラインを使用していました。インビザラインとは、矯正歯科医が歯型データと治療計画を送ると、専門企業がマウスピースを製造して届けてくれる「外注型」のシステムです。

ピザ屋さんが生地を外の工場から仕入れてくる、いわば「外注ピザ」のようなイメージです。

当時は3Dプリンターの性能やシミュレーションソフトウェアがまだ発展途上。外注の方がクオリティが高かった時代でした。

2020年〜現在:「内製型」へのシフト

2019年、矯正治療に革命をもたらす新素材が登場します。それが**形状記憶マウスピース(シェープメモリーアライナー/SMA)**です。

  • 2019年:世界で認可取得
  • 2020年:当院で導入開始
  • 2024年1月:日本でも医療機器として正式認可
  • 2024年11月:当院患者さんのデータが海外学術論文に掲載

そしてこの新素材の登場とともに、当院は**自院内でマウスピースを製造する「内製型」**へと移行しました。

お蕎麦屋さんが自分で麺を打って提供する、「手打ち蕎麦」のようなイメージです。

内製型になって変わったこと

外注型(以前) 内製型(現在)
飛行機で届くのを待つ その場で素早く対応できる
文章でしか細かい指示を伝えられない 先生のアイデアをすぐに反映できる
修正のやり取りに時間がかかる 細かい調整・修正がすぐ可能
外注先のルールに縛られる 制約なく自由に設計できる

PART 2|マウスピース矯正、100年の歴史

実は、マウスピース矯正の歴史は意外と長いのをご存知ですか?

第1世代(1926年〜)

粘土で歯型を取り、石膏模型からマウスピースを1枚ずつプレス。1つの歯型から1枚しか作れない時代でした。

第2世代(1998年〜):デジタル化の始まり

歯型データをスキャンしてデジタル化。コンピューター上で歯を動かすシミュレーションが可能になり、1つのデータから複数枚のマウスピースを設計できるようになりました。これがインビザライン誕生のきっかけです。

ただし、ここで一度「外注型」が主流になりました。

第3世代(2011年〜)

口腔内スキャナーが登場し、より精密にデータ化が可能に。

第4世代(2015年〜)

3Dプリンターの性能が大幅に向上・小型化。クリニック内での製造(内製化)が現実的になり始めます。

第5世代(2019年〜):現在

形状記憶素材のマウスピースを、模型を使わず3Dプリンターで直接プリントする技術が登場。これにより、歯のくびれ部分をしっかりつかむ「グリップ力」が飛躍的に向上しました。

アタッチメント(歯に付ける突起)なしでも、歯をしっかり動かせるようになったのはこの技術革新のおかげです。

PART 3|これからの矯正治療、どうなる?

内製化がスタンダードになる時代へ

コピー機が家庭に普及したように、フィルム写真がデジタルに変わったように、矯正治療の世界でも内製化の波は止まりません。

世界の矯正歯科医たちが今もっとも注目しているのが「インハウス(院内製造)アライナー」。尾島先生自身も、内製化にシフトしてから海外での講演依頼が増えたほど、国際的にも注目されている分野です。

「どこで作っても同じ」ではなくなる

外注型の場合、経験の浅い先生も、ベテランの先生も、同じ企業が作る同じ素材のマウスピースが届きます。

しかし内製型になると話は変わります。

「チェーン店のピザ」と「職人が焼くピザ」が同じ味のはずがないように、内製型のクオリティはそのクリニックの技術・経験・研鑽に直結します。

当院は内製化から約5年。毎年クオリティは着実に上がっており、もう外注型には戻れないほど大きなメリットを実感しています。

10年後の未来は?

3Dプリンターの進化が続けば、数分でマウスピースがその場で完成する時代も遠くないかもしれません。技術の進歩とともに、矯正治療はさらに快適で精密なものへと進化していきます。

まとめ

  • 当院のマウスピースは院内の専門技工士が内製しています
  • 形状記憶素材(SMA)を使用し、アタッチメントなしでも高精度な歯の移動が可能
  • 外注型と内製型では、クオリティの「差が出やすさ」がまったく異なります
  • 今後は世界的に内製型へのシフトが加速していく見込みです

歯並びが気になる方へ 無料の矯正相談を随時受け付けています。お口の写真を撮影し、どんな治療が合うかをご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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